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日本建築・日本の街を考えていきます。(岩井慎悟)


by 100nenya
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京間と田舎間

日本の木造建築の基準モジュールとして畳の寸法が長く利用されてきましたが、畳の寸法は京間や田舎間を始め、地方によって異なっています。
『京間』は別名『本間畳』といい、京都を中心に大阪・瀬戸内・山陰・九州で用いられてきた基本尺で畳の一枚の大きさが長さ6尺3寸×幅3尺1寸5分(1909×955㎜)で、部屋の大きさが変わっても畳一枚の大きさは一定である。
この京間の畳を使った建物の計画(間取り)を『畳割り』と呼び、あくまでも畳の寸法を優先して柱の位置を決めていきます。
だから京間で計画された家同士であれば、6帖の部屋から3帖また8帖の部屋に引っ越したとしても、畳は前に使っていた畳を持っていって使うことが可能です。

『田舎間』別名『関東間』・『江戸間』は、京間の1間=6尺5寸に対して、1間を6尺(182㎝)にとります。で、何より京間と違う点は、田舎間の場合、『柱割り』という柱間(柱と柱の間の心々寸法)を6尺5寸(197㎝)と基準にした建物の計画(間取り)をしていくので、6帖と8帖の部屋では畳のサイズが微妙に違っていて、違う大きさの部屋では同じ畳を敷くことはできません。

また他に『中間(ナカマ)』という、柱の心々寸法1間が、京間の6尺5寸と田舎間の6尺の中間にあるもので、地方によって実寸法が異なっていたりするものもあります。
その他、近畿や中国地方で使用されている『安芸間(アキマ)』、京都御所内で平安時代以降用いられたといわれる畳『御所畳』、中世の上流住宅で使用されたといわれる『昔畳』と呼ばれているものなどあります。

ちなみに、茶室の畳などは、京畳を使用します。
炉の大きさや茶道具のプロポーションは、京畳の大きさ(長さ191×幅95・5㎝)に合わせて決められているので、面積比で20%以上も小さい関東間の畳はこのプロポーションに合わないのです。このため茶室の畳は京畳で考え、最悪の場合でも点前(テマエ)畳は京畳としなければなりません。

畳一つとっても、その時代やその地方、また用途によって違っていて、その違いを見ることで、その土地の風習や感覚、考え方などが見えてくるようでおもしろいですね。
京間と田舎間_c0061400_023782.jpg

by 100nenya | 2005-04-29 00:02 | 日本の家を考える