座敷の畳
2005年 04月 26日
中世・近世では、居室の床は板敷きが標準であり、将軍や大名は、『置畳』といって広い部屋の一部に寝具や座具として畳を置いて使用していました。
室町時代に書院造りが完成されてからは、小さな部屋から室内全面に畳を敷き詰めるようになり、『置畳』と区別して『敷畳』と呼ばれるようになりました。
畳が敷き詰められた部屋は『座敷』と呼ばれ、畳敷様(タタミジキヨウ)という畳の敷き方の方法も定められました。この畳敷様は祝儀敷と不祝儀敷というハレとケに対応した敷き方の文化を生み出し、今日も座敷の空間特性を決める重要な要素の一つとなっています。
そんな畳は、畳床に畳表を被せて縁を付け、床一面に敷き詰める建築材料で、主に藺草(イグサ)・藁(ワラ)・布などを用いてつくられます。
高温多湿の日本の風土に最も適した床材の1つとして、今日まで広く使用されていますね。
畳床の藁(ワラ)も畳表の藺草(イグサ)も中空のストローのような構造であるため、弾力性・断熱性・保温性に優れ、適度に水分を吸収して乾燥時に吐き出す、湿度調整の機能も併せもっています。
開放的な住まいにとっては長所の多い畳ですが、現代の高気密住宅(特に鉄筋コンクリート造の共同住宅)では、逆に保湿性能の高さがダニの生育条件に適した環境を生み出す可能性もあります。
清潔に感じる現代の家(住まい)の方がシックハウスのような問題が多いようです。
意匠とは本来、その土地の風土や材質など考慮していってたどり着いた答え(知恵)ですから、やはり、とってつけたようなものは欠点を抱えていることが多いですね。
マンションなどの高気密住宅に暮らされていてシックハウスでお困りの方、だからと言って畳のせいにしないで下さい。ただ現代の考え方と、昔の考え方のベースが違っているだけで、マンション業者などはそこまで考慮はしていないのは当たり前です。
マンションなどのこの畳のダニの予防としては、部屋の通気をよくし、春秋の天日干しは無理にしても、畳を少し持ち上げて風を通すだけでも効果はあるので、是非、身体を動かし、現代なりに対策をしてみて下さい。
by 100nenya
| 2005-04-26 00:49
| 日本の家を考える