町家の目隠し
2005年 03月 31日
元々、スダレは夏のもので、開け放して風を入れていてもスダレを下げていれば外から中が見えにくいというものです。
しかし、京都の祇園界隈の町家は、冬でもスダレが下がっています。
これは、京都の風俗とも言える光景です。
今でも、祇園界隈を歩くと、舞妓さんや芸妓さんを見かけるように、京都の祇園界隈は、昔から花街として賑わっています。
町家が通りをはさんで向きあって建っている花街は、お互いの家の中が丸見えになるのを嫌い冬でもスダレを下げるようになったのではないかと考えられます。
さて、1階にもそういった視線をもちろん意識しなければなりません。ただ、1階は視線だけでなく、ちん入者の排除ということも考えなくてはいけません。そういったことを考え、昔から1階には格子が使われてきました。
もちろんこういった考え方からすると2階にも格子で構わないわけですが、京都の町家は2階に格子を用いているものは意外に少なく、こういったスダレやその他、目隠しを兼ねた手摺、屋根の上の板塀を建てた町家などがさまざまです。
懐かしさと美しさ、そして親しみやすさや気持ちよさ…現代の我々の感覚と昔の人が花街に抱いていた感覚とは少し違っているかもしれませんが、そんな昔の人の知恵や工夫を感じながら町家が並ぶ通りを歩いてみるのもいいものです。
by 100nenya
| 2005-03-31 21:23
| 日本の家を考える