日本建築・日本の街を考えていきます。(岩井慎悟)


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世界遺産に指定された白川郷の合掌(がっしょう)造りなど、農村部では、その地域の風土や用途に合わせたさまざまな民家が作られていった日本人の住まい(家)の形ですが、都市部では、いわゆる『うなぎの寝床』と呼ばれる奥行きのある道にそってぴったりと軒をつらねた町家の形が一般的です。
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なぜ、このような住まい(家)の形になっていったのでしょうか?
それは、江戸時代に、『公役』と呼ばれる税金が建物の間口(入り口)の幅に応じてかけられたのでこうした町家では間口(入り口)に対して奥行きが長い『うなぎの寝床』と言われる形が多くなったのです。
そう、現代で言うところの節税です。
そして、この税金のシステムを考えた当時の政治家もスゴイ!
今現在、国道沿いの店舗を計画するにしろ、商店街の中の店舗を計画するにしろ、間口が広い方が集客力に優れ、出来る限りそのようにしたいと思うのが一般的です。
そこに目をつけ税金をかけ、都市の秩序を保たせたのには感心します。
もう少し詳しくその『公役』と呼ばれる税金を説明しますと、町地には上・中・下の3ランクがあり、幕府は、公役(くやく)として御用を勤める町料理、砂利、御畳などの人足役を家持から家屋敷の間口(建物の幅)に応じて提供させました。賦課基準は「上」は、間口5間あたり、「中」は、間口7間あたり、「下」は間口10間あたり、それぞれ年間15人に定めていました。
そして後に人足徴発から銀納制に変更され、町奉行所で必要とする人足の賃銭、町役は寺社への初穂料や町奉行以下諸役人への礼銭、橋梁修理費<掃除費などを、公役銀(くやくぎん)を徴収する形となりました。
余裕のある家は、間口を大きく取れましたが、やはり庶民の感覚としては、負担にならないよう税金の少ない間口を小さくとった家の形の中で、日照や風通し、また生活しやすさなど、いろんな工夫をしていったのが、奥行きが長い『うなぎの寝床』の町家です。
そんな風な視点から町家を見てみると、現代の私たちにとっても親しみやすく、また当時の人たちの生活の知恵をより近い感覚で感じられます。
狭小住宅といった今の日本の都市の住宅のヒントもたくさん見つかるかもしれませんね。
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# by 100nenya | 2005-06-28 22:08 | 日本の家を考える
古民家を再利用する目的として、やはり住まいは住まいとして利用するのがベストだとは思いますが、どうしても別の用途として再利用するケースもでてくると思います。
また、現在建っているその地で補修・改築し再利用する他、移築などをし再利用するケースなどさまざまです。
まず、そんな用途、目的を明確にした上での、事前の調査は非常に重要です。
全体移築などの場合、それに耐える部材か?仕事の程度はどうか?単に古材の部分的な利用なのか?また補修や改築の場合でも、どこを補強するのか?どこをなおすのか?など十分に現況を把握した上で検討することが大切になってきます。
古民家の木組は「総持ち」の構造で構成されているため、部分的な利用や一部をカットして用いる場合には、構造的なバランスや補強の再検討は必須です。
価値ある建物、価値ある部材を譲り受けるために、最低限必要な費用というのも発生してくるケースがあります。再利用を前提とした解体費・調査費、また移築の場合などは部材保管費・運搬費など新築工事にはない経費が必要となったりします。
また譲り受ける人とそれ以前の住まい手、また地域住民の方、解体を担当する地場の職人さんと補修工事や移築工事をする職人さんなどとのしっかりとした連携・つながりがばければ、工事も完成後の管理もうまくいかないため、そういった人との関わりは新築以上に大切であることは、理解しておかなければいけないと思います。
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# by 100nenya | 2005-06-18 08:11 | 日本の家を考える
古民家で使用されている材は樹齢200年を超えるものも多く、完全に乾燥している上、強度も十分あるので、現在流通している若木の未乾燥材などとは比較にならない良材を使っていることになります。
また現在輸入材が多くのシェアをしめている現代の住宅ですが、古民家では純国産材、つまり日本の地で育った木が骨組になっているわけですから、日本の気候・日本の風土で建つ家として使用する材としては、当然ですが最も適しているわけです。
また、現在では集成材になってしまっている梁などの大断面部材が無垢の木材になっているので、小屋組一つとってみても重みのある文化を感じる空間になっています。
建具などの造作物には、手入れのされたすばらしいものも多く、一つの文化として使用し続ける価値は大きくあると思います。
更に、これらの職人が手間を十分かけることが出来た時代の仕事や技術を、補修・補強、また解体・復元などの工程を通じて次の世代に引き継げることの意義も大きいですね。
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# by 100nenya | 2005-06-17 07:43 | 日本の家を考える
『ザ!鉄腕!DASH!!』などのテレビ番組や雑誌などの影響もあって古民家での生活・暮らしに憧れている方も最近では増えてきているように思います。
それでは、実際に古民家に住む為には、どのようなことを考え、どのような方法で実現していけばよいのか?
まずは、当たり前ですが、やはりそのような物件を探すことから始めないといけません。
自分が暮らしたい地域、田舎に実際に行ってみると、けっこうそういう物件の立て看板を目にします。
古民家や町家を得意にしている不動産屋さんもあるので、そういうところで探すのも一つの手段だと思います。
実際に物件が見つかったあと、古いその地域の人たちとの交流といった問題もありますが、私は建築のプロとして、もう一つの問題である建物の補修や修繕といった面での説明を少しします。
まず、建物の状態は、物件によって様々です。
軸組をそっくりそのまま利用できるほど良い状態で残っている古民家の場合は、多少の部分補修をすることですぐに利用し住まうことが出来ます。
座敷や居間などで、大黒柱や梁などの構造材が立派でしっかりしている場合も、痛んでいる部分の骨組のみを補修または補強・取替えることで十分に利用することができます。
また、そのまま建物を利用するには痛みがひどい場合でも、大黒柱や差し鴨居などの大断面の材は削り直して利用したりしながら、補修を最小限にしながら利用することもできます。
建具や欄間などで優れたものはそのまま活用できますし、煤竹などは価値が高く、歴史を肌で感じるものは手を入れたり換えたりする必要はないでしょう。
あとは、自分の生活スタイルがどの辺りまで現代の生活から切り離すことができるかによって、補修や改築の度合いが変わってくると思います。
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# by 100nenya | 2005-06-16 00:04 | 日本の家を考える
使用されていない古民家は、探せばけっこうあるものです。
そんな使用されていない古民家を手に入れ、あるいは借り、補修や手直しをし、時には他の場所に移築することによって、それをもう一度活用したりして、新たな建築として蘇らせて利用することは、価値ある日本の文化、日本の暮らしの文化、日本の住まいの文化を引き継ぐという大変、重要な目的を含んでいます。
その民家が最初に建った時代と、今現代での生活スタイルは大きく変わり、建物の性能のうち、利便性や衛生などの面では改善しなければいけない点も少なくないですが、建物そのものの構造体の耐久性や屋内空間の快適性などの点では、日本の気候や風土から生まれた暮らしが凝縮した形で反映されており、引き継いでいく価値は十分にあります。
マンションや建売住宅をはじめ今の私たちの住まいは、身の周りに電力で動く機械装置に囲まれた箱の商品化住宅が多く、それらと自然の材料で構成された古民家を比べたとき、人間本来の居住空間に適しているのはどちらなのでしょうか?
まだまだ寿命のある丈夫な骨組みの使われていない古民家は、生きた家として再利用を考えて生きたいですね。
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# by 100nenya | 2005-06-15 10:36 | 日本の家を考える

さまざまな日本の屋根

我が国日本でいろんな材料の屋根が使われ始めたのは、近世(江戸時代)あたりからです。
屋根材料が豊富になると、各地方・地域で特徴をもった葺き方、仕上げ方や屋根構造が見られるようになっていきます。
屋根材料には、茅(カヤ)、麦藁、稲藁、檜皮(ヒワダ)、杉皮、杮(コケラ)、栩(トチ)、本瓦、桟瓦、銅板、石などがあり、それぞれ屋根勾配、下地、小屋組みなどが違っています。

茅葺・・・主に葭(ヨシ)や芒(ススキ)などの草で葺かれた草葺き屋根の総称で、茅葺には、茅だけで葺く場合と、麦藁などを混ぜて葺く場合があります。屋根勾配はたいへん急にしなければいけなく、最低45度以上で、積雪の多い地域では、それ以上にしなければいけません。たいていは、真葺き(マブキ)と呼ばれる方法で茅の根元を下にして葺きますが、耐久力の良さを優先して穂先を下にした逆葺きにする地方もあります。
近年では、防火に対する弱点や茅場と呼ばれる茅の採取所の減少、維持管理に労力とコストがかかるなどの要因で草で屋根を葺くことは少なくなってきています。
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板葺・・・木の板材で葺かれた屋根の総称で、薄い杉や檜、クリなどの板を重ねて葺き、木や石などで押さえたものを杮葺(コケラブキ)、それより厚く長い板の場合は栩葺(トチブキ)と言います。
耐久性は低く10年程度で葺き替えが必要です。
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瓦葺・・・江戸時代中期以後の江戸では、桟瓦が発明されて防災、防火のために普及しました。屋根勾配は、茅葺や板葺に比べ緩いため、小屋組みは和小屋とし、瓦の下の葺土も重いので野地板も厚いものが使われます。武家住宅では瓦葺がふつうであり、京都や西の民家でも瓦葺は多くあり日本の屋根の代表的な形とも言えます。しかし、最近ではコストや建物の耐震性などの面からより軽く安価な屋根材料に押され新築の家での普及はどんどん少なくなっていってしまっています。

杉皮葺・・・江戸時代、杉の植林をするようになると、山地では茅葺とともに杉皮葺が多くなりました。杉材を切り出してその皮を利用するので安価ではありましたが、神社や貴族の住宅などの上等の屋根は檜皮葺としていました。
戦後は乱伐のため寿命の長い杉皮が採れなくなり、金属板葺きにとって代わられていきました。
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# by 100nenya | 2005-06-01 21:12 | 日本の家を考える
檜(ヒノキ)は、木理は通直で、肌目も緻密で、独特な香気と光沢をもっています。弾力性・靱性に富み、狂いが少なくやや軽軟なので加工性もよいといった特徴があります。
耐久性もよいので、建築木材として多く使われています。
用途としては、高級建築材、造作材、和風建具、和・洋家具など建築全般に使用されています。
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# by 100nenya | 2005-05-31 00:25 | いろいろな木材
杉(スギ)の木材としての特徴としては、木理は通直、肌目はやや粗く、特有の香気を放っていて、脂気(やにけ)が少ない上、軟らかく軽いので加工しやすいといったものです。耐朽性は中程度です。また、辺心材の境目が明瞭で、辺材は白色、心材は淡い紅色~濃い赤褐色、ときに黒色と材色に幅があります。
用途としては、溝造材、造作材、建具、家具、樽、桶、工芸品などに広く使用されています。

『吉野杉(ヨシノスギ)』…古くから奈良県吉野地方で植林されてきた民有林材。樹脂成分がほどよく、手垢が付きにくいため、造作材として広く用いられている。心材は淡い紅色で、白味を帯びたものがよいとされるが、「赤杉」と呼ばれる赤味の濃いものも、経年変化に対してその色合いがよく残るため、柱材、造作材として好まれています。
また、「中杢」と呼ぶ天井板として利用する部分は、吉野杉の代名詞にもなっています。

『春日杉(カスガスギ)』…奈良県春日大社境内および春日山に植栽されたもので、法規制があるため、風倒木や枯木しか使用できない稀少材。心材はやや桃色を帯びた赤色で、時間の経過とともに茶褐色に変色し、渋い味わいを醸し出しています。また、樹脂成分をかなり含んでいるので、美しい光沢をもつ。春日杉の「笹杢」は、天井板や落とし掛けなどに用いられています。

『土佐杉(トサスギ)』…高知県魚梁瀬(やなせ)地方に産する植林材(主に国有林に属する)で、「魚梁瀬杉」とも呼ばれています。心材はやや褐色を帯びた赤色。樹脂成分を多く含み、やや重硬で反りや狂いが出やすいといわれていますが、力強く男性的な杢目は天井板として好まれています。

『霧島杉(キリシマスギ)』…南九州の霧島火山系一帯から産する大径木で、現在、ほとんどが社木となっており、風倒木や枯木しか使用できない稀少材。心材は黄色味を帯びた紅褐色で、春材部が白く、緻密な肌目が特徴。笹の葉を散らしたような優雅な杢目を「笹杢」と呼ばれていますが、霧島杉の笹杢は天井板や床柱として評価が高いです。

『神代杉(ジンダイスギ)』…数百年間、火山灰のなかに埋もれていたスギには石灰が混入した水が浸透し、化学的に発色する。これを「神代杉」といい、特にその色調が茶色味を帯びたものを「茶神代」、黒色が強いものを「黒神代」と呼んでいます。辺心材とも黒ずみ、脂気がなく、枯淡の味わいをもつことから、天井板や落とし掛けなどに用いられています。

『薩摩杉(サツマスギ)』…鹿児島県屋久島の天然林(国有林)の稀少材。「屋久杉ヤクスギ」」ともいわれていますが、本来は樹齢が千年以上経ったスギでなければ「屋久杉」とはいわず、樹齢が千年に達していないものは「小杉」と呼ばれます。心材は黄褐色~赤褐色。年齢が緻密で、特に鶉杢(うずらもく)の現れたものは、天井板、落とし掛けなどに使用されています。

『本屋久杉(ホンヤクスギ)』…薩摩杉を「屋久杉」というのに対し、樹齢千年以上の屋久杉は「本屋久杉」と呼んで区別しています。霧島杉と同様、心材は黄褐色~赤褐色で、樹脂成分を多く含んでおり、飴色の光沢をもつ。天井板や落とし掛けのほか、腐れ部分は欄間にも利用されています。
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# by 100nenya | 2005-05-23 22:00 | いろいろな木材
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板目材の材面において、立木のときに樹心側に近かった面を『木裏』、樹皮側を『木表』と言います。
木材は乾燥していくと、木表側(樹皮側)に反る特徴があります。
また、製材前の原木に在した内部応力のために製材段階で起きる挽き曲がりなどの変形を『狂い[クルイ]』と呼び、その変形の状態によって『曲がり』・『反り』・『捩れ』に区分されます。

建築物にそのような『狂い』を生じる木材を使用する場合、当然ですが、木の特徴を考慮した使い方を考えなければいけません。
例えば、敷居、鴨居などの内法材では、内法側に反ることを考慮(建具の建付け上有利なため)して表側を木表となるように木材を使用します。

また一般に木裏(樹心側)は木表(樹皮側)よりも木目が悪いといわれ、節も樹心に近い部分に出やすいという特徴があり、雨にさらされる下見板や雨戸などに使う場合は、その表側には木裏を使ったり、木裏は逆目(サカメ)が立ちやすいため、手足の触れる部分にはあまり用いられたりしません。
木表は節が少なく木目も美しく、削った表面には光沢があり、逆目も立ちにくいので、縁甲板、地板、テーブルの天板などでも木表を表側にして用いるのが普通です。
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同じ一本の木からとった材料でもそのように表裏があったりするので、木材の特徴を生かした使い方が重要となってきます。
また、鉋削り(かんなけずり)では、木表は木材の末から元に向かって削り、木裏は逆に元から末に向かって削ると逆目が立たないなど木材の扱い方も木の特徴を知っていなければ、その良さを生かすことができません。

木も人も、長所、短所いろんな特徴をうまく生かすことっていうのは大事なことですね。
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# by 100nenya | 2005-05-11 01:50 | 木材の性質
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歌舞伎は17世紀初めに出雲から京に出て念仏踊などを演じた出雲阿国が祖と言われています。
最初は能舞台を借りて演じられていたそうですが、庶民に受け入れられ盛んになってくると、歌舞伎専用の劇場が必要となってきます。
2階・3階の桟敷をもつ劇場(芝居小屋)が出現したのは、18世紀初めの江戸だそうです。
当時の町奉行の指示の中に、「芝居の屋根は、近年は雨天でも興行できるようになっているが、従来通り軽微なものにせよ。」という項目があったそうです。
雨天でも興行できる小屋全体を覆う大屋根をかけた建物は、いうまでもなく当時としては有数の大建築でした。
現代と違い、娯楽の少ない時代、歌舞伎は庶民から圧倒的な支持を受けており、できるだけ大勢の客を集客したいということから大屋根の大建築になっていったのだと考えられます。
亀甲梁と称する組合せ梁など、大空間を作り出すための建築技術など、新たなニーズが新しい建築を生み出すのは今も昔も変わりません。
現代の私たちのニーズが、またマンションや高層ビルとは違う新しい建築を生み出すのかもしれませんね。
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『金毘羅大芝居(金丸座)』・・・江戸時代の大規模な歌舞伎劇場で唯一現存しています。天保6年(1835)の上棟で、現在は移築して保存されています。セリやスッポンといった舞台装置も見ることができ当時の熱狂振りを感じることができます。
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# by 100nenya | 2005-05-02 00:08 | 日本の家を考える